ブルワー / ビール醸造家 になる方法!就職するブルワリーを選ぶ3つのポイント

1年間、神奈川県のブルワリーでアシスタントブルワーとして働いたのち、現在は渋谷にあるクラフトビールバーで働いている筆者が、「これからブルワーになりたい!」と考えている方に向けて、入社するブルワリーの選び方を解説します。

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そもそもブルワーとは何か

以下の記事で、ブルワーの仕事内容について詳しく解説しているので覗いてみてください。

良いブルワリーの選び方

前提

前提として、あなたが思い描く将来像によって「良い」の定義が異なるので、一概に「このブルワリーに入ったら成功する」とはいえません。

そこで今回は、

  • ブルワー未経験である
  • ブルワリー業界の全体像がまだちょっとわからない
  • 将来ブルワリーを開業しようかなと思っている
  • 地方移住も選択肢としてあり
  • クラフトビール扱う飲食店で働いている

以上の項目で、「これは自分に当てはまるな」という項目が半分以上という方に向けて、「多分これが近道で合理的だろう」という仮説のもと記事を書いていきます。

最初から希望のブルワリーには入れない

ほとんどの場合、希望するブルワリーに未経験で入社することは困難だと思います。この記事をご覧になっている方は、きっと素晴らしいビール体験をしてきて、これからクラフトビール業界にのめり込もうとしている方かと思います。そんな方々が飲むビールは、おそらく名のあるブルワリーであって、もしかすると新進気鋭で人気急上昇中のブルワリーかもしれません。そういったブルワリーは、ブルワー経験者を知人の紹介ベースで採用していたり、少数精鋭で業務を回していて未経験者を雇うポリシーがない可能性が高いです。

よって、筆者の提案としては、

「未経験者を雇っているそこそこのブルワリーで2~3年働いたあと、自分の本当に希望するブルワリーに転職する」

これがいいかなと思います。2~3年働けば、うまくいけばブルワリー業務を幅広く経験できますし、自分がブルワーとしての適性があるかどうか、ひいては本当に自分が作りたいビールは何であるかを見つめ直すことができるでしょう。最初の入社先の面接で、転職を前提にして話をするべきではありませんが、内に秘めるマインドとしては、実力をつけていつでも転職してやるぞ!という気概があって良いと思います。

前置きが長くなりました。それではいってみましょう!

「良い」ブルワリーを選ぶ3つの観点

結論「そこそこ有名」「中規模」「科学的知見深いヘッドブルワーがいる」、これら三つの要素を満たしているブルワリーに履歴書を送ることをお勧めします。それぞれの観点について、詳しく見ていきましょう。

そこそこ有名

インスタグラムでいえば、フォロワーが最低でも1500人以上いるブルワリーが望ましいかもしれません。未経験で年齢が若い場合、その後のキャリアステップの鍵となるのは、単純に前職どこで働いていたかということになると思います。(反対に、年齢を重ねていけばいくほど、ブルワーとしての経験値や人柄、業界人の人脈の豊富さ、その人につくファンの多さなど、総合的に、かつよりシビアな採用基準が設定されるように思います。)実際のところ採用する側は、応募してきた人が若ければ、ブルワーとしての厳密なスキルよりも、腰が強くて人柄が良ければ良く、どこの馬の骨かわからないようなブルワリーで働いているよりも、多少有名で信用がモテそうなブルワリーで働いていた方が採用しやすいように思います。よって、2~3年働いて次の転職で有利に働く可能性のあるような、そこそこ有名でクラフトビール業界で広く認知されているようなブルワリーに応募するのが、未経験のうちはいいと思います。

他のブルワリーと頻繁にコラボしていたり、ヘッドブルワーが老舗ブルワリー出身だったりすると、今後伸びていく可能性が高いブルワリーだと思うので、応募することをおすすめします。

どこのブルワリーがどの程度が有名かわからない場合は、お気に入りのビアバーを見つけて、その店主に話を聞いてみましょう。業界内の各ブルワリーのそれぞれの有名度合いくらいは教えてくれると思います。アルバイトさんだとわからない場合があるので、少なくともビールを発注していそうな雰囲気のある人に聞くといいと思います。

中規模

ブルワリー業界では、各社が少ない人数で、一人一人がオールマイティに仕事を回している印象があります。それはつまり、「なんでもやったことあるやつ」が採用されやすいということに繋がってきます。大規模なブルワリーに就職すると、基本的に分業制なので、パッケージングや配送などの醸造以外の仕事しかさせてもらえないことがあります。そうなるよりは、次の転職先で有利に働くように、車やフォークリフトの運転、缶やボトルのパッケージング、醸造器具やタンクの洗浄、洗浄剤に関する知識、原材料から発酵までの総合的な醸造に関する実践経験を兼ね備える方がいいと思います。全て熟練せずとも、パッケージングしかしたことない人よりは、浅くてもいいから幅広いブルワリー業務を経験してきた人の方が採用されやすいと思います。その意味で、最初の入社先はなんでもやらされる中規模ブルワリーに就職することをおすすめします。

また、小規模なブルワリーでは、オーナーひとりで醸造関係の仕事を回していることがあります。従って、そこに入社する場合は、就職というよりはやや修業といったほうがしっくりくるかもしれません。タフな精神力と強靭な肉体をお持ちであれば、ぜひ小規模ブルワリーにも目を向けてみてください。ただし、前節で申し上げたように、ある程度有名である必要があると思います。

数字的な規模感でいえば、1回の仕込み量が700L~1500L、700Lのビールタンク5~6基、アシスタントや経理を含めた従業員数が3人以上15人以下くらいがいいかなと思います。この基準は完全に筆者の個人主観によります。

もう一つ言っておかなければならないことがあります。「ゆくゆくは醸造に携われるよ」と採用時に言われたものの、入社後に何年も併設の飲食店で働いたり、配送の運転手をしたり、缶やボトルの充填などの業務を与えられて、なかなか醸造の仕事をさせてもらえない先輩や友人を何人も見てきました。それを下積みとして捉え、高いモチベーションを保って仕事できるのであれば全く問題ないのですが、早く醸造の仕事を覚えたい!と思っている方は注意が必要です。飼い殺しにされないように気をつけてください。

科学的知見の深いヘッドブルワーがいる

わざわざここに「科学的知見の深い」という文言を書くのはなぜかというと、科学的知見をあまり持ち合わせていないブルワーさんも中にはいるからです。こう書くと悪く聞こえるかもしれませんが、良い言い方をすれば、科学的知見があまりないブルワーさんは、科学のロジックというよりは天才的な醸造に関する感性が備わっているから醸造できるとも言えます。これは完全に偏見ですが、かつて隆盛を極めた90年代後半から2000年代ごく初頭までの、いわゆる地ビール時代を牽引してきたブルワーさんには、この「天才タイプ」が多いような印象があります。(もちろんそれに当てはまらない方もおられます。)便宜的に、ここでは「天才ブルワー」と呼ぶことにします。

天才ブルワーの下で働くのは、未経験者にとってはあまり好ましくないというのが筆者の考えです。なぜなら、未経験者のうちは、再現性が高い方法で醸造を行う方が、醸造に関する体系的な知識や、どこのブルワリーに転職しても通用するような実践的な経験を積むことができ、その方が次の転職で有利になる可能性が高いと思うからです。再現性の高い方法で醸造を行うためには、原材料や酵母、発酵に関する科学的なプロセスなど、科学的な深い知見を持つ必要があります。

ただ、科学的知見が深いかどうかは、側から見て簡単に判別できません。(そもそも筆者がブルワーを格付けするような書き方をすること自体、気がひけるのですが今回だけはご容赦ください。。)なぜなら天才ブルワーでもそれなりに科学的な知見はあるからです。では、どうすればより科学的知見の深いブルワーと見抜くことができるか。これも個人的な見解ですが、見抜く観点の一つに「洗浄や掃除を徹底するかどうか」という点があると思います。ビール醸造の要となるのは、バクテリアによる複雑で繊細な発酵活動です。それは非常に不安定なプロセスで、外部からの菌的な影響を非常に受けやすく、工場内の衛生環境には細心の注意を払わなければなりません。科学的な知見が深いブルワーは、良好な発酵を阻害する原因は取り除こうと努力するはずなので、工場内は常に清潔に保たれ、消毒や殺菌に加え洗浄剤に関する知識もしっかり持っています。面接に行って工場を見せてもらい、醸造スペースが綺麗だったらひとまず信頼して良いと思います。(濡れた面にアルコールスプレーを噴霧して、完全に殺菌したと思っているようなブルワーの下では働かない方がいいと思います。)

最後、結局は自分の努力次第

つらつらと偉そうに記事を書いてきましたが、偉大なブルワーになれるか、もしくは偉大でなくとも一人前のブルワーになれるかどうかは、結局その人の気概次第だと思います。

(1年間しかブルワリーで働いていない筆者が高みから発言しているようで本当に恐縮なのですが、)強い気概を持った人は、どんな環境でもモチベーションを保って自分の技術を磨けますし、本当にビールが好きならホームブリューイングで経験を積み、資金を貯めてそのままブルワリーを開業すると思います。

なので、今回書いた記事はあくまでも参考としてお考えください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

もし筆者のことに少しでもご興味があれば、以下の記事から筆者が将来どんなことをやりたいのかをまとめている記事があるので、ぜひちらっと覗いてみてください。

良いブルワリーに巡り会えるといいですね!一緒にクラフトビール業界を盛り上げていきましょう。

エージェントに任せるという手も

ブルワー転職を考えている方は、今現在は飲食店で働いているというケースが多いんじゃないかなと思います。

転職って大変ですよね。筆者は新卒から4年目までに3回転職しました。毎日indeedやマイナビを見て、良い求人がないか眺める日々。。

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