【開業構想シリーズ】お店の名前は「WILD ALE CLUB」(旧「Pedi」から改名しました)

開業構想シリーズとは

しがないビアバー店員が、独立開業までの成功談や失敗談、思索をブログで不定期連載するシリーズです。詳しくは下のリンクをご覧ください。

ついでに、筆者(satoshi)は何者?という方向けにはプロフィールをご用意しています。


お店の名前を「Pedi」から「WILD ALE CLUB」に変更しました

以前このブログで、開業するお店の名前を 「Pedi」(ペディ) として発表しました。サワービール製造に欠かせない菌「Pediococcus」(ペディオコッカス)から取った、僕なりに思い入れのある名前でした。

ですが、構想を練り直す中で、この名前を手放す決断をしました。

新しい名前は 「WILD ALE CLUB」(ワイルドエールクラブ)です。

なぜ「Pedi」をやめたのか

理由は3つあります。

1. コンセプトが一撃で伝わらない

「Pedi」という4文字は、語感としては悪くないと自分でも気に入っていました。ただ、街で看板を見かけた人、Googleで検索した人にとって、「Pedi」が何の店なのかは全く分かりません。サブネームをつけることで補えるとはいえ、結局それは「店名そのものが弱い」ということの裏返しでもあります。

2. コミュニティの場にしたかった

僕が作りたいのは、単にビールを飲ませる店ではなく、ワイルドエールという少しマニアックなジャンルを愛する人たちが集う場所です。「Bar」でも「Pub」でもなく、もっと仲間意識のある言葉が欲しいと考えるようになりました。

3. お店の輪郭がより鮮明になった

開業構想を進める中で、自分が本当にやりたいのは「ワイルドエール特化のお店」だと、改めて確信しました。であれば、それを名前に直接刻んでしまうのが一番誠実だと思ったんです。

「WILD ALE CLUB」という直球の名前

「WILD ALE CLUB」は、名前そのものがコンセプトであり、強烈なサブネームでもあります。街で見かけた時も、Googleで検索された時も、「ワイルドエールに狂っている店(あるいはコミュニティ)」であることが一撃で伝わります。

飲食店を開業する際、多くの人が「店名 + サブネーム(何のお店か分かる肩書き)」で悩みます。「〇〇 Terrine & Craft Beer」や「Craftbeer Bar 〇〇」といった具合です。ですが「WILD ALE CLUB」にはその迷いがありません。

無駄な装飾を削ぎ落とした、この真っ直ぐな名前を、開業までに広く認知してもらえるように頑張ります。

なぜ「WILD ALE」なのか?(ペディオコッカスのロマン)

旧店名の由来でもあった「ペディオコッカス」への愛は、店名から外れた今もまったく変わっていません。むしろ、なぜ僕がここまでワイルドエール(野生酵母やバクテリアを使ったビール)に惹かれているのか、改めて少しマニアックな話をさせてください。

伝統的なサワービールの製造工程で現れる通性嫌気性細菌に「Pediococcus」(ペディオコッカス)というものがいます。この菌はサワービールの複雑な酸味を担っている要素の一つで、乳酸菌に分類されるグループです。

通常、ペディオコッカスはビール業界やワイン業界では「汚染菌」や「腐敗菌」として認知されています。ブルワリー(醸造所)でこれらの菌にタンクやホースが汚染されたとなると、工場の操業が停止してしまうくらい危険で扱いが難しい菌類です。スコットランドのブルワリー「BrewDog」は、メインの醸造所とは別に、すぐ隣にサワービール専用の醸造所(BrewDog OverWorks)をわざわざ作ったりもしています。

そのため、市場に出回っているいわゆる「サワーエール」は、醸造機器の汚染を避けるためにケトルサワーという製法を用いることが多いです。麦汁を煮沸する前に乳酸菌を添加し、phが下がったら(酸性になったら)煮沸=菌を死滅させて発酵タンクに移送するという方法です。比較的大量生産が可能かつ汚染リスクが少ないため、多くのブルワリーが採用している合理的な手法です。

ただ、乳酸菌がすでに死滅していることもあって、ケトルサワーは風味の複雑性が損なわれる製法だという見解がブルワーやテイスターの間では一般的です。(もちろん、それが悪なのかどうかは全く別の議論ですが。)

それに対して、ベルギーのランビックなどの伝統的なワイルドエールでは、「汚染菌」であるペディオコッカスやブレタノマイセスが必要不可欠です。麦汁を空気中に晒して野生のバクテリア(バイ菌も多く含む)を取り込み、腐敗と紙一重な発酵を、伝統的な技術と矜持で成し遂げていく。僕はここに、とてつもないロマンを感じています。

ケトルサワーを否定するわけではありませんが、生きた菌由来の独特な風味は何にも代えられませんし、この伝統的な製法は絶対に守られるべきだと思っています。何かと悪者にされがちなペディオコッカス等のバクテリアですが、僕は大好きです。

引用:https://www.brewersjournal.info/pediococcus-friend-and-foe/
ペディオコッカス属たち

なぜ「CLUB」なのか?

僕のお店を通じて、多くの人にこの複雑な酸味を持ったビールを体験していただき、ワイルドエールの面白さが日本に広まっていけばいいなと思っています。

単にビールを消費する「Bar」ではなく、伝統的で普遍的、クラシカルな要素を愛するビアギークや、これからその魅力にどっぷり浸かりたい人たちが集う秘密基地のようなコミュニティにしたい。そんな思いを込めて、「CLUB」という言葉を選びました。

ロゴデザイン依頼先募集中

「WILD ALE CLUB」のロゴをデザインしていただける方、絶賛募集中です。本格的な発注はオープンの前年、2027年頃になります。我こそは!という方がいらっしゃれば、ぜひ頭の片隅に入れておいていただければと思います。

この記事を書いた人
さとし

ブログ歴4年ほど、渋谷のクラフトビールバーで働く28歳。元アシスタントブルワー。2028年頃にワイルドエールをテーマにしたバーを開業する予定です。好きなビアスタイルはランビック。

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元ビール工場スタッフで、現在は渋谷のビアバー店員として毎日ビールを注いでいます。
知識だけじゃない、現場の空気感や「本当の美味しさ」を伝えたくてこのブログを始めました。
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