ワイルドエール は、野生酵母を使用したビールのことです。
最近流行る兆しのあるワイルドエールですが、まだまだ認知度は低いと思うので今一度整理して解説します!
記事の後半では、実際に買えるお店などもご紹介しています。
ワイルドエール とは何か?
ワイルドエール の定義
ワイルドエールとは、ワイルドイースト(野生酵母)を使用して作られるビールのことです。
野生酵母とは、空気中に存在するブレタノマイセスやペディオコッカス、乳酸菌(ラクトバチルス)などを指します。
ワイルドエール の味や香りは?
野生酵母を使用すると、発酵や熟成の過程で独特な風味を生み出します。具体的には、柑橘や洋梨、びわ、アプリコット、プルーン、犬や馬小屋のような香りなどです。
また、ワイルドエールは酸味を持つものが多いのですが、野生酵母を使用したからといって直ちに強烈な酸味が生み出されるわけではありません。
多くの酸味は、発酵の過程で乳酸菌やペディオコッカスなどの菌類が混入(または意図的に添加)したことによって引き起こされます。
つまり、酸味は発酵過程での副産物と捉えることができます。
したがって、ワイルドエール=サワーエールとは必ずしもならないものもあり、酸味が少ないワイルドエールも(マイノリティですが)存在します。
もっと詳しく知りたい方は、上記リンク(英語)からどうぞ。
(上級者向けの説明:「サワービール」はフレーバーに基づいたカテゴライズであり、「ワイルドエール」は発酵プロセスに基づいたカテゴライズです)
ワイルドエール とランビックの違いは?
ランビックは、ベルギー・ブリュッセル近郊に流れるゼンネ川沿いを中心としたパヨッテンラント地域及びブリュッセルで醸される伝統的なワイルドエールです。
ランビックは、パヨッテンラントで醸されたものしかランビックと呼べません。
それに対してワイルドエールとは、ランビックを包括した大きなカテゴリーのことを指します。
ひとまず、野生酵母を使用していればワイルドエールと呼べると考えてよいでしょう。
(野生から採取した野生酵母だけで発酵させたり、培養した野生酵母を使用したり、はたまたいろいろな酵母をミックスして発酵させたものなどがありますが、ここでは割愛します)
ワイルドエールを取り巻くビアスタイルをチャート化してみました。
以下わかりにくいところだけ補足しておきます。
ビアスタイルについてもっと知りたい方は、以下のリンクもご覧ください。
ワイルドエール が美味しいおすすめのブルワリー (ブランド) 10選
ここからはビール紹介です。
筆者が実際に飲んだことがあり、かつ日本で簡単に手に入る個人的におすすめなブルワリーをご紹介します。
ほとんどが海外ビールなので、インポーターについて興味がある方は以下の記事もご覧ください。
カンティヨン | Brasserie Cantillon (ベルギー)
カンティヨンは、ブリュッセルにある最も伝統的なランビック醸造所です。
定番は「カンティヨン・グーズ」で、筆者が最も好きなビールの一つです。
ベルギービールバーに行けば大体飲めます。
21歳のとき単身ベルギーへ旅行したのですが、目的はカンティヨン醸造所の見学でした。懐かしい。
インポーター:小西酒造
インサイトセラーズ | Insight Cellars (デンマーク)
インサイトセラーズは、Mikkeller Baghavenの元ヘッドブルワーが立ち上げたコペンハーゲンのブルワリー。
徹底的な化学を用いて組み立てられたワイルドエールは絶品です。流通価格も少し高め。
インポーター: Dig The Line
ホーリーゴート | Holy Goat (イギリス)
ホーリーゴートは、木樽熟成が得意スコットランドのブルワリーです。
個人的にはフルーツ系のサワーエールが大好き。
インポーター:マルホ酒店
ハドソンバレー | Hudson Valley (アメリカ)
ハドソンバレーは、Sour IPAが得意なニューヨークのブルワリー。
メインはやはりフルーツを使ったSour IPAですが、しっかりワイルドエールもリリースしています。
インポーター:ファイブグッド
ジェスターキング | Jester King (アメリカ)
ジェスターキングは、テキサスに拠点を置く全米トップレベルのブルワリー。
ファームハウスエールやワイルドエール、サワーエールが得意。IPAなども一応手がけています。
横浜にあるインポーター直営のお店「Southbound」で飲めると思います。
インポーター:カーディナルトレーディング
オックスボウ | Oxbow (アメリカ)
Oxbowは、東海岸メイン州を拠点に置くファームハウスエールやラガーが得意なブルワリーです。
完全に個人的な話ですが、筆者は意外とお酒が弱いので、低アルコールビールを多く作っているOxbowは大好きです。
東京・大塚のお店「タイタンズ」で飲めると思います。
インポーター:AQべボリューション
ビーエフエム | BFM (スイス)
BFMは、スイスのクラフトビール界においてレジェンド的存在です。
特に有名な銘柄はAbbaye de Saint Bon-Chien、通称ボンシェンの名で親しまれているストロングサワーエールです。
赤坂の名店「sansa」で飲めます。
インポーター:ザ・カウンター
シュネーオイレ | Schneeeule (ドイツ)
シュネーオイレは、ベルリンに拠点を持ち、伝統的な手法でベルリナーヴァイスを生み出している数少ないブルワリーです。
爽やかな酸味と強めな発泡感が特徴的。
東京・神田「BAKU-YA」さんで飲めます。
インポーター:BAKU-YA.ism
ミルズ | Mills (イギリス)
Millsは、イギリスの小さな町にあるミルズ夫妻が切り盛りしているバレルハウスです。
近隣のブルワリーで麦汁を作り、自前のハウスにあるクールシップで夜を越し、その環境の全ての要素をビールに取り込んでビールを醸しています。
インポーター:Pigalle Tokyo
インポーターであるPigalleは、山田ご夫妻が切り盛りしている東京・三軒茶屋のビアバー&ボトルショップでもあります。
足繁くヨーロッパに通いながら集められた知見と豊かな人との繋がりは圧巻で、いつも勉強させていただいています。
Millsに関しては、Pigalleのブログがあるのでこちらをご覧ください。
蒜山(ひるぜん)醸造所つちとみず (岡山県)
「蒜山醸造所つちとみず」は、ワイルドエール専門の国産ブルワリーです。
自然栽培にこだわった農業と並行してビールを醸しており、現代には珍しいスタイルで粛々とビールをリリースしています。
筆者は、インポーターDig The LineのボトルショップであるDig The Line DOORSでこのビールたちと出会い、そこからヴィンテージシリーズは毎回買っています。
買える/飲めるお店4選
Pigalle Tokyo | 東京 三軒茶屋 (ビアバー)
ヨーロッパ系のビールを多く取り扱っている東京のビアバー(ビアパブ)といえば、業界経験が長い人ほどPigalleの名前を挙げる傾向にあると思います。
地域でいえば、北欧やイギリス、ベルギーのビールに強みを持つ印象があります。
シードルやワイルドエールも数多く、時には大瓶を計り売りしていることもあり、こちらにいけばこの記事を読んでいる方はきっと満足できるでしょう。
置いているビールが素晴らしいことはいうまでもないのですが、山田ご夫妻の人柄が本当に素敵なので、ぜひビールの話を聞きに行く感覚で来店されてはいかがでしょうか。
ワイルドエール以外にも、もちろんビターやラガーなども定番としてあるので、どんなときにもおすすめできるお店です。
マルホ酒店 | 大阪 九条 (ボトルショップ)
マルホ酒店は、大阪に拠点を置くクラフトビール専門の酒屋です。
創業は明治末期ですが、現在の店主である広章さんの代になったことでクラフトビール専門になりました。
現店主が、大学生の頃に家業を継ぐと決めて地酒の専門店にしようと酒蔵にお邪魔してお酒造りの勉強をさせて頂いたりしている頃にたまたま、飲んだビールに衝撃を受けて。
翌日に、造り手さんに会いに行き、クラフトビールの世界の持つ魅力(自由さ・クリエイティブさ・規模の大小関係なくお互いを支えあう姿勢・ちょっと、ストリートカルチャーっぽい所・やたら常識ぶち破ってくる感じ・世界中で繋がる..etc)に取りつかれてしまいそのままどっぷり浸かってしまったのが今のマルホ酒店です。(出典:マルホ酒店オンラインショップ https://maruho.shop/pages/aboutmaruho)
東京に住んでいる筆者は、大阪に出向いた際に2回ほど伺いましたが、自分のアンテナが刺激されるようなラインナップに毎度感銘を受けています。
現在は大阪の西側「九条本店」となんばにある「ミナミ店」の合計2店舗展開中です。
九条本店は立ち飲みスタイルで、古風なお店構えですが、店内奥のセラーはまさに魔の領域。クラフトビールの最前線からオールドクラシックなものまで鎮座しています。
昔ながらの店内という趣もありながらも、飲んでいるものは超最先端ビール…みたいなギャップがあるのも面白いところ。
あと、おでん、おすすめです。
マルホ酒店のオンラインショップでは、自社輸入ビールに加えて、色々なインポーターから幅広く仕入れているので非常に使い勝手が良いと思います。
マルホ酒店店主の波々伯部さんの目利き効いた品揃えなので、安心して買い物することができますね。
アローム | オンラインショップ
サワーを中心に幅広くラインナップ。
コラム的な記事が面白く、また勉強になるオンラインショップです。
Dig The Line Online | オンラインショップ
Dig The Lineは、ヨーロッパのビールを中心に輸入しているインポーターで、特にワイルドエールに強みがあります。
ワイルドエールを取り扱いたい事業者の方がいらっしゃったら、ぜひ一度相談されることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?
本当はもっともっと紹介したいビールやお店がたくさんある中で、今回は本当におすすめできるもの・こと・方々をご紹介させていただきました。
この記事が、日本でワイルドエールがもっともっと広まる一助になれば幸いです。
このブログでは他にもいろんな記事を更新していますので、ご興味のある方は覗いてみてください。
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