グルテンフリービールって何? 製造方法の解説とおすすめのビールをご紹介

最近よく見かけるようになった” グルテンフリー “関連食品ですが、実はクラフトビールにもグルテンフリーで作られた商品があります。ビールは大麦麦芽から作られるのに、なぜグルテンフリーにできるのか?クラフトビールバー店員が分かりやすく解説します!

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グルテンが及ぼす身体的影響

グルテンは美味しさの源であると同時に、人によっては悪い影響を与えるといわれています。この記事は製造方法についてフォーカスしているので、グルテンそのものに関しては、分かりやすくまとめられている下のリンクをご覧ください。

” グルテンフリー “ビールの製造方法

主に二通りの方法があります。

グルテンフリーの素材を使用する

ソルガム(モロコシ)、キビ、ソバ、コメ、キヌア、トウモロコシ、大豆、えんどう豆などのグルテンを含まない穀物から糖を取り出して醸造する方法です。いわゆる”ビール”ではありませんが「キリン のどごし<生>」は大豆から糖を取り出しているのでグルテンフリービールといえます。

製造工程でグルテンを分解する

出典:https://bsgcraftbrewing.com/dsm-brewers-clarex-1kg/

DSM社「Brewers Clarex®︎」を醸造工程で使用し、グルテンを分解することでグルテンフリーと呼べるビールを作ります。ボイルした麦汁を冷却し、発酵タンクに移送する段階で「Brewers Clarex®︎」(液体)を投下、これに含まれるエンドペプチターゼというタンパク質分解酵素によってグルテンを分解して、グルテン含有量を20ppmに抑えます。大抵のクラフトブルワリーはこの製品でグルテンを取り除き、グルテンフリービールを作っていると思います。(僕はグルテンフリービールの醸造経験はないですし、とても難易度が高い印象があります。)

グルテンはビールの味、風味、ボディ、マウスフィールに影響を与えることはないので、グルテンを取り除いたからといって特に官能的な性質が変わることはありません

「Brewers Clarex®︎」は本来、ビールの冷温白濁(通常好ましくないとされる)を防止するための添加物として使われます。ちなみにDSM社によると、世界のトップブルワリー10社のうち8社が使用しているとのことです。

麦汁に対してどれくらい投下すれば良いか計算したい人がいたら、下のリンクを参考にしてください。(多分いない)

” グルテンフリー “ビールはグルテン含有量ゼロ?

各国によって異なりますが、EUをはじめ多くの国ではビール中の含有量が20ppm(0.002%)以下であることが、グルテンフリーと呼べる基準になります。この基準はセリアック病(グルテンが原因で小腸内表面が損傷し、身体にさまざまな症状を持たす疾患)に有効であって、小麦アレルギー患者には不十分です。

農林水産省のグルテンフリー表示に関する簡単な資料をこちらに貼っておきます。資料では米粉が基準ですが、ビール(大麦)も同じように扱えます。

手頃な” グルテンフリー “ビールを2つ紹介

DAURA – DAMM

スッキリした味わいのラガー。クセのない味わいなので、グルテンフリー生活をしている人へのギフトにもぴったり。

Steel Cut – Burnt Mill

イギリスのBurnt Millが出しているSteel Cut。オート麦由来の柔らかな口当たりのヘイジーペールエール。ヘッドブルワーのソフィさんはなんとグルテンアレルギー。彼女の鋭敏な嗅覚と色覚、醸造チームの舌触りによって生み出されるビールはどれも傑作揃いです。インポーターさんの多大なる努力によって、たまに日本国内でも流通しています。

参考ページ

イギリス国内でグルテンフリーな食生活をサポートする慈善団体「Coeliac UK」のグルテンフリービールに関する記事

オランダに本社を置くDSM社の「Brewers Clarex®︎」商品ページ

最後に言いたいこと

グルテンを取り除いたこと自体がビールを美味しくさせるわけではなく、原料にグルテンを含まないオーツや米粉を使うからいわゆる「斬新さ」が生まれると思っています。これは非グルテンアレルギーの方々が、グルテンフリービールを楽しむ大きな理由になると思っています。

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