ブラゴット / Braggot とは?まだマニアしか知らない、実は伝統的なビアスタイル

最近日本国内でも見かけるようになった ブラゴット(Braggot)というビアスタイルを、現役ビアバー店員が総合的に解説します!

ブラゴット (Braggot)って何?

Race Your Own Heart(ビール名)/ Cloudwater(イギリスのブルワリー)。インポーターはインビアーズさん。

ビールとミード(後述)のハイブリットです

ブラゴットとは、モルト(大麦麦芽)と蜂蜜を使ったビールのことです。

厳密にいえば、モルトよりも蜂蜜の方が多く使用されている必要がありますが、現代的なブラゴットはその限りではないようです。(蜂蜜が副原料として使用している場合は、単純にハニービールとして扱われます。しかしながらビール審査会では、ハニービールとブラゴットの区別はしていないようです。)

製法はいくつかあります。ビールを製造する際に行う工程である「煮沸」の際に蜂蜜を投入したり、アルコールを生成させる工程「発酵」の際に蜂蜜を投入したり、あるいは完成したビールとミードをあとからブレンドして作られることもあります。

蜂蜜を生成するミツバチが、どんな花に訪れるかによって風味が若干変化するようです。加えて、ハーブやホップを使ったものや、ラズベリーやブラックカラントを使用したものも各地で醸されています。

フレーバーはデザートワインのような口当たりのものから、サラサラしていてサワーエールのような酸味があるものまで多岐に渡り、ピリッとした風味、土っぽさ、キャラメル、チョコレートのニュアンスも現れるようです。

一応、ビアスタイルガイドラインに載っている統一見解を引用しておきます。

アロマとフレーバーの両方に蜂蜜の風味・特徴がはっきりと感じられることが求められるが、過剰であってはならない。ホップのアロマとフレーバーおよび苦味は、非常にロー・レベルから非常にハイ・レベルまでと範囲が広い。モルトのアロマとフレーバーのレベルについては、ブルワーの意図によって異なる。ボディはベースにしたビアスタイルによって異なる。このビアスタイルに出品するビールは、ベースにしたビアスタイル名、使用した蜂蜜の種類と使用法(たとえば「オレンジブラッサム蜂蜜をワールプールの工程で麦汁に添加」など)を明示することが求められる。

クラフトビア・アソシエーション『ビアスタイルガイドライン2204』 https://beertaster.org/beerstyle/2204_detail/2204_015.html#j015

起源は意外と古い

イングランドの物語集『カンタベリー物語』(ジェフリー・チョーサー著 1476年初版)によれば、既に12世紀ごろには、ケルト人の間でブラゴットが飲み交わされていたようです。

その後、中世西ヨーロッパで広く親しまれ、今日のウェールズでは一般的な飲み物として知られています。

ミード(Mead)とは?

ミード(Mead)とは、蜂蜜と水、それらに酵母を加えて作られる醸造酒です。

滋賀県野洲市(琵琶湖の南東に位置)のクラフトミーダリー「ANTELOPE」さんの記事が、とってもわかりやすくまとまっているので、ぜひご覧になってください。

どこで買える?どこで飲める?

ブラゴット(Braggot)

現状、ビアバーでも常時提供しているところは少ないと思うので、オンラインで買えるブラゴットを紹介させていただきます。

100年前のドイツの設備を使って仕込む、岩手県の老舗ブルワリー「ベアレン」が、100%岩手県産の蜂蜜を使用して作ったのがこのブラゴット。

1本1000円以下なので試しに買ってみるもよし。

熨斗やギフトラッピング、メッセージカードなども無料で対応しているので、1ケース買って人に贈るもよし。

ミード(Mead)

ミードに関しては、先ほど少し触れた滋賀県のミーダリー「ANTELOPE」さんのオンラインショップで購入できます。蜂蜜酒は世の中にごまんとありますが、クラフトビールの知見を備えた彼らが醸す「クラフトミード」は、このブログをよく読んでいただいている方には、きっと刺さるんじゃないかなと思います。

筆者は2022年に彼らのクラフトミードを飲み、個人的にファンになりました。自信を持っておすすめできる品々です。

ギフト向け商品も整備されているので、大切な人へのプレゼントや、栄転祝などで贈ってみてはいかがでしょうか?

ANTELOPE ONLINE STORE
国内初のクラフトミードハウスANTELOPEのオンライストアです。 ANTELOPEオリジナルのクラフトミードをはじめ、ANTELOPEグッズも販売中。

あとがき

「ビールは自由で多様なものであるべきだ」と考えている筆者からすれば、ブラゴットのような、ビールと他の飲み物の境界線上にあるようなスタイルが、より日本でも広まればいいなと思っています。そしてそれが、日本のクラフトビールシーンの豊かさに繋がると信じています。

他のビアスタイルについて、こちらの記事でも解説しているので、もしよかったら覗いてみてください。

ついでに、筆者が将来やりたいこともブログで発信しているので、こちらも覗いてみてください。

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