![](https://satoshiblog.jp/wp-content/uploads/2023/02/ajb.jpeg)
2023年1月に AJB の醸造所を見学&ラベル貼りのお手伝いをしてきました。ブルワーさんから聞いた情報とネットの情報をもとに、AJBについて紹介していきます。
AJBの基本情報
ブルワリー名 | Anglo Japanese Brewing Co. |
英名、別称、通称等 | AJB、AJB Co. |
本社 | 長野県 |
生産拠点 | 長野県下高井郡野沢温泉村、神奈川県横浜市 |
設立年(創業年) | 2014年 |
主力商品 | Nozawa White、Nozawa Black、Nozawa Gold、Foeder Sour、一望千里 等のバレルエイジドビール |
2つの拠点を持つブルワリー
ブルワリー & 里武士(長野県)
AJBは、長野県下高井郡野沢温泉村の中心にある大湯(村内に十数個ある公衆温泉浴場の中で最もクラシックな温泉)の向かい側に「里武士」というブルーパブとして2014年にオープンしました。その後2017年、ブルワリー設備は里武士から車で20分ほど離れた場所にある旧幼稚園に移転し、里武士とブルワリーは分離しました。
上の写真はブリューハウス(ビールを仕込む設備の複合体のこと)です。設備については後ほど詳述します。
里武士では(タイミングにもよりますが)ブルワーの方が店頭に立っていることが多く、ビールに関してとても親切に教えてくれます。フードはほとんどないので、温泉街で食事を済ませてから立ち寄ることをお勧めします。また冬季はスキー客で店内がごった返すこともあるので注意しましょう。酔っ払ったら向かいの大湯に浸かって酔いをリセットしてまた里武士に戻りましょう。
余談ですが、里武士の名前の由来はオーナーのトーマス・リブシーさんから来ています。
里武士 馬車道(神奈川県)
2022年4月、神奈川県は横浜市馬車道に新しくブリューパブをオープンさせました。創業以来から培った醸造技術の集大成でありながら、蒸留設備も導入しているチャレンジングな拠点です。お料理にも力を入れていて、スコットランド出身のシェフが腕を振るうっています。
曜日によってはキッチンが完全にクローズしていることもあるので、事前にInstagramをチェックすることをおすすめします。
ビール以外に自家製レモンサワーや自家製コンブチャも提供しています。
AJB の特徴
ビールのラインナップ
クラシックなスタイルを中心に、バレルエイジ系のビールが非常に得意です。また六本木のベーカリー『bricolage bread & co.』と食品廃棄削減に取り組む『社団法人 530week』と協働し、パンの耳を利用したアップサイクル・ビール「bread」も生産しています。「bread」は軽い飲み口で、さらさら飲めるペールエールのような雰囲気でありながら、後味に小麦のようなまろやかさが残る印象的なビールでした。
ブルワリーの設備
一回の仕込みで約2500L仕込むことができるブリューハウスを備えています。これは国内ブルワリーだと中規模な印象です。最初にオープンした里武士では約300Lの設備だったため、規模拡大の躍進が伺えます。
麦芽を糖化させるマッシュタン、濾過するロイター、煮沸するためのケトル、不純物を取り除くワールプールがそれぞれ独立しているタイプでした。(マッシュタン兼ロイター、ケトル兼ワールプールの2つで運用しているところが多い)これだと時間差で2回連続醸造(ダブルバッチ)しやすいと思います。
ビールを発酵させるためのファーメンターは4基、円柱状貯酒タンク(ブライトビアタンク、BBT)は1基でした。ブルワーさんのお話によると、BBTはエールに比べて長期熟成が必要なラガーなどで使用し、それ以外のビールはファーメンターから直接ケギング(樽詰め)やカンニング(缶詰め)しているとのことです。
ちなみに2022年秋に新型のカンニングマシンを導入し、充填作業が格段に速くなったそうです。
日本トップクラスのクオリティを誇るバレルエイジドビール
AJBといえばバレルエイジ(樽熟成)。そう思っているビールファンも多いのではないでしょうか。AJBは2019年、日本国内初となるフーダー(木樽タンク)を導入しました。40BBL(約5000L)2基で、国内最大です。
こちらのブログでフーダーについて詳しく書いているので、もしよければ以下の記事も覗いてみてください。
仕込まれたビール(Saisonが多い)はフーダーに継ぎ足しされ、少なくとも半年〜数年置いてから樽やボトルに充填されます。より小さい木樽に小分けして詰められていくこともあります。
小さい木樽に詰め替える時に、副原料であるフルーツが添加されることもあります。またフーダーで熟成されているビールに含まれる酵母(主にブレタノマイセス)は、同じブルワリー内の通常のビールタンクを汚染させてしまう危険性があります。(タンク汚染は実質ブルワリーにとって死、倒産を意味します。)よって筆者がフーダー熟成のビールを試飲させていただいた時に使ったプラカップでさえ、ブルワーさんによって厳重に処分されていました。
同じ理由で、フーダーやファームハウス系のビールを充填する際は、繰り返し使えるステンレス樽ではなく、使い捨てのプラスチック樽(ユニケグ)が使われています。
ブレンドも得意
2019年にはベルギーのランビック醸造者であるアウドベールセルとコラボレーションし、彼らの3000LのランビックとAJBのビールをブレンドさせ、「一望千里」としてリリースしました。
またランビックをベルギーから日本に運ぶ際に使用したタンクを利用して、「ファームハウスブレンド」もリリースしています。熟成の状態によって味わいは異なりますが、2022年末リリースのものは軽い酸味とすももや洋梨を思わせるフレーバーを感じました。
飲めるお店、買える場所
野沢温泉周辺の酒屋さんや道の駅に加え、都内でも比較的流通しています。三軒茶屋のクラフトビールバー&ボトルショップ「Pigalle」や、都立大学「The Slop Shop」、AJB公式オンラインショップで取り扱いがあります。
AJB の好きなところ
![](https://satoshiblog.jp/wp-content/uploads/2022/11/cropped-IMG_1749-2-150x150.jpg)
国内においては非常に先進的なバレルエイジを行なっているということ。びっくりしたのが、フーダーで継ぎ足ししたビールをワイン樽などに詰め替えて、さらにフルーツを添加した樽がフーダーの裏にズラーっと並んでいたこと。まだ世に出ていないバレルエイジビールたちの迫力が凄かった。あと個人的にはブルワーさんがみんな気さくでとっても好き。
コメント